この作品は、HIAP – Helsinki International Artist Programme – にて３ヶ月のレジデンスプロジェクトに参加し、フィンランドの建築と太陽、自然の研究を通して制作した作品である。フィンランドは、白樺が常に身近に存在しており、その美しく直線に伸びる枝や幹、細かく浮遊する葉が特徴的だった。その丸く薄い葉の動きは、風が吹くたびにパタパタと面白い動きを作り出し、まるで自然が生み出したインスタレーションのようである。そこから、この葉の動きをそのまま同じように動く機構を作るのではなく、葉の動きを連続的な映写のフィルムと捉え、一枚ずつ切り取ることを考えた。再構築するための素材として、強い強度、しなやかな動き、光の効果が期待できるスチール製の巻きバンドを見つける。この素材は日本ではあまり馴染みないが、フィンランドでは一般的な素材であった。この素材に既存する穴の部分をガイド線として、法則的な曲げ加工を施すことで、多様な白樺の動きを表現した。このプロジェクト中、フィンランドならではの自然光を活用した建築調査を通し、太陽角度の低さによる構成や、リズム感の発見が多くあった。特に明るい空間内であっても、詩的な光を感じとることができることを実感した時は衝撃だった。このことがきっかけで、どんな明るさであっても、光を感じられる作品の手法を今回この作品で表現することを目指した。